【145万馬券】天皇賞(春)(2012) ~絶対王者の自滅と、計算し尽くされた「完全なる逃亡」~

■ 脳汁ポイント:銀行レースが「地獄のロシアンルーレット」に変わった瞬間

 ギャンブルにおいて「絶対」という言葉を信じる奴は、例外なくカモだ。それを日本中の競馬ファンに最も残酷な形で叩き込んだのが、2012年の天皇賞(春)である。

 単勝1.3倍。前年に三冠を達成した絶対王者・オルフェーヴルに、日本中の人間が「銀行に預けるより確実だ」と札束を突っ込んだ。しかし、レースは天才の奇行と、一頭の伏兵による「冷徹なロジック」によって完全に破壊される。

 なぜ14番人気のビートブラックは勝てたのか? たまたま前を走っていたからではない。

 この日、ビートブラックはもう一頭の逃げ馬とともに、後続を約20馬身以上も引き離す「狂気の大逃げ」を打った。だが、後続のジョッキーたちは誰も追いかけなかった。なぜなら、全員が「後ろにいるオルフェーヴル」だけを牽制し合っていたからだ。

 「誰かが動くまで動かない」。そのお行儀の良い集団心理を、前を走る伏兵はせせら笑っていた。 さらに、3200mという長距離戦において、ビートブラックはバテるどころか、淡々と自分のペース(スタミナが切れないギリギリのラップ)を刻み続けていたのだ。

 そして第3コーナー。ようやく事態のヤバさに気づいて動き出そうとしたオルフェーヴルは、焦りと持ち前の「狂気(気性難)」を爆発させ、あろうことかコースの外側へ逸走。ジョッキーが必死に手綱を引いて失速するという前代未聞の暴走を引き起こす。

 天才が自滅していく様を尻目に、最初から最後まで完璧なペース配分で逃げ続けた伏兵が、悠々とゴール板を駆け抜けた

 電光掲示板に表示された3連単は145万2520円。奇跡ではない。大衆の目を「王者の背中」に向けさせ、その隙に金庫を丸ごと奪い去った、見事な知能犯の犯行だ。

■ 万馬券への教訓 「圧倒的1番人気が『気性難』を抱えている時、前にいる伏兵がVIPになる」

 どれだけ能力が飛び抜けていようと、気性に爆弾を抱えた馬が1倍台の人気を背負った時、それは罠だ。そんなレースでは、周りの馬も「王者のご機嫌」ばかりを気にしてレースのペースが完全に歪む

  天才が自分の機嫌で自滅するのを特等席で待て。その狂気に付き合わず、マイペースに前を走れる「スタミナ豊富な伏兵」に網を張れ。それが天才を出し抜く快感だ。

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この記事を書いた人

 20年以上にわたり、パチスロ、公営競技、オリパに至るまで理不尽な確率の壁と殴り合ってきた生粋のギャンブラー。
 エセ期待値稼働を「退屈な労働」と切り捨て、ギャンブルの真の価値である『脳汁(快楽)の全肯定』を提唱。NOZILの総責任者として、狂った勝負の世界を発信している。

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